共働きのローズさん夫妻は、育児も家事もすべて半分ずつ。仕事も家庭もバランス良く、子供たちとの時間も大切にしている。そんな2人のフェアな関係から、ワークライフバランス先進国の現状を探る。
仕事の特性に合わせて、家事・育児は平等にシェア
2人の出会いは、夫のピーターさんが22歳、妻のぺニラさんが20歳のとき。学生の時から一緒に暮らし始め、今日まで生活を共にしている。2004年に結婚、2006年に長男のアードリアンくんが誕生、2010年には次男のガブリエルくんが誕生した。ピーターさんは小学校の教師として働く公務員で、現在6年生の担任をしている。一方のペニラさんは、北欧雑貨ブランド・クリッパンの5代目副社長として、忙しい日々送っている。スウェーデンでは一般的な、夫婦共働きの家庭だ。ロース家の毎日はとても忙しい。2人の息子はサッカー少年で、ピーターさんは子供たちのサッカーチームのコーチ、監督も務めているのだ。サッカーのトレーニングはほぼ毎日あり、その他にスイミングスクールや体操教室にも通っている。ぺニラさんは、週に3回、自宅から車で約1時間のところにあるクリッパン本社で働いている。朝は比較的ゆっくりで、子供たちを送って行くのは彼女の担当だ。会社に行く日は帰宅が22時頃になるときもあり、ピーターさんが子供たちのお迎え、食事の仕度を全面的に担当する。
平日の週2日はぺニラさんは自宅で仕事をしており、子供たちのお迎えもペニラさんが担当する。その日はピーターさんの帰宅もいつもより遅いが、それでも17時頃には帰ってくる。
ピーターさんは、ぺニラさんと比べて仕事の時間も比較的短く、学校勤務のため休みも多い。一方、ぺニラさんは、会社の責任者という立場もあり、長い休暇は取れない。新しいデザインのコレクションや展示会の時などは、仕事の拘束時間も長く、出張も多くなる。
半年ずつの育休とハーフタイム勤務で仕事も家庭も両立
恵まれた育児休暇システムを利用して、2人は育児休暇期間を半分ずつ公平に取った。最初の6ヶ月をぺニラさんが、その後6ヶ月をピーターさんがとり、2人ともフルタイムで仕事と育児に専念した。さらに、その後の6ヶ月は、「ハーフタイム」という勤務スタイルをとり、週の半分はぺニラさんが、残りの半分はピーターさんが休みを取った。さらに、子供が病気になった際も、同じように半分ずつ看病休暇を取るなど、平等にシェアをしている。このスタイルは、2人にとっては自然なものだった。ピーターさんは、子供が生まれる前から、子育てに積極的に関わりたいと思っていた。お互いのニーズと希望がうまくマッチし、2人とも子育てと仕事を両立させている。「子供と一緒に過ごせる時期というのは、長い人生の中でほんの一瞬です。この人生のゴールデンタイムともいうべき時期を逃すなんて、もったいないと思わない?」ペーターさんは、そう笑顔で語った。
男の育児バイブル「FQ JAPAN」(2016年3月掲載)