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寺町 幸枝:アフリカと新型コロナウイルス



日本では、新型コロナウイルスによるパンデミックが収束しつつある現在、地球の反対側のアフリカ大陸では、ジワジワとその影響が広がりつつある。アジアに遅れて3ヶ月。4月下旬から、アフリカ大陸での新型コロナウイルスの陽性者の数は、徐々に上昇してきた。この地域で、コロナ対策の包括的な陣頭指揮をとっているのが、アフリカ免疫予防管理センター(アフリカC D C)だ。 そのアフリカC D Cが5月、ジャーナリスト向けのウェビナーを3週連続開催した。ジャーナリストの「人命を救う役割」を喚起するためだ。

致死率は低めだが、一部の国では致命的


アフリカC D Cによると、5月26日現在、アフリカ54か国の合計の感染者は、11万5346人、死亡者数は前週に比べ31%増加し3471人上っている。エリア的には、北アフリカと南アフリカがそれぞれほぼ同じ人数の感染者数を抱えている。気になるのは、コロナウイルスの致死率に関して、世界的な平均である6.5%よりも高い国が五つもある点だ。特に西側にある「リベリア」では、感染者の致死率が10%となっている。実際に世界、アフリカ地域、そして米国、日本を比べたデータを見ると、リベリアの数値が非常に高いことが分かる。しかしアフリカ全体としては、それでも低い。

そんな中、5月初頭マダガスカルの若手のラジョエリナ大統領が、自国で生産できる薬草茶を「コビット・オーガニックス」名づけ、コロナウイルスに効果があると言い始め、一部のメディアで話題となった。しかし、この飲料は現時点で「科学的な根拠がない」もので、W H Oをはじめ、アフリカC D Cも、否定的な見解を示している。


もちろん、米国やドイツのラボが、このコビット・オーガニックスの臨床実験を始めたという報道もあり、一概に西洋社会がアフリカの伝承医療について、完全否定をしているわけではない。しかしながら、偏った情報が一人歩きするのは危険だ。


アフリカC D C自ら、ジャーナリスト教育へ奔走


このような状況を踏まえ、アフリカC D Cと、米国ジョージア州にあるエモリー大学、そして国開発計画(U N D P)は、アフリカ在住のジャーナリスト向けに「アフリカと新型コロナウイルス」に関するウェビナーを、5月15日から3週に渡り行なった。



ウェビナーを行った目的は、ジャーナリストを通じて、新型コロナウイルスにまつわる正しい情報を広く拡散することで、少しでも多くの人命を救うことが狙いだ。これは、以前から国連のアントニオ・グテーレス事務総長が、公共衛生対策における、ジャーナリストの役割を訴えていることに起因する。

ウェビナー中、複数のアフリカ人ジャーナリストたちが口を揃えて質問したのが、政府関係者から十分な情報が得られないことについて、ジャーナリストとしてどう対応すべきか、というものだった。それに対して、ウェビナーの講師であるイギリスのロンドン・スクール・オブ・ジャーナリズムのニック・アラッティ教授は、コメントが出せる関係者をしらみ潰しにあたり、探し続けることの重要性を説いていた。

実際、アフリカの英語メディアである「africanews.com」を見る限り、日本ではパンデミックに対して落ち着いてきた様子が見受けられるのに対して、アフリカは、今まさにこれから陽性者が増えていきそうな緊張感が溢れている。

また米国の公共ラジオである「ボイスオブアメリカ」が、アフリカのコロナウイルス のパンデミックに関する記事を5月下旬にいくつか発表しているが、それには、アフリカの主要都市が、続々とロックダウンを解除していることに対して、専門家であるアフリカ免疫予防管理センターの主任であるジョン・ケンガーソン医師が、警鐘を鳴らしている。

ケンガーソン医師は「アフリカの人口の1%に見合う、1500万人のP C R検査をして初めて、ウイルスの動向を予測できると考えているが、現時点では、アフリカ全土でたった180万人のテスト結果しかない」と話す。

アフリカ大陸のパンデミック状況を正確に把握しない限り、今後の対策を考えることは難しい。アフリカCDCはこの様な背景から、ウイルスに対する抑制手段を得るため、藁をもすがる思いで情報収集に積極的だ。AFP の報道によると、中国の専門医とも情報共有を進めているという。アフリカのコロナウイルス の今後の動向は、アフリカC D Cの対応にかかっていると言っても過言ではない。


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